東京五輪の開閉会式演出、野村萬斎が総合統括に就任

2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開閉会式を演出する総合統括に、狂言師野村萬斎(52)が就任することが30日、決まった。福島県のJヴィレッジ(広野・楢葉町)で開かれた大会組織委員会の理事会で承認された。 

五輪統括には映画監督の山崎貴氏(54)、パラリンピック統括には広告クリエーティブディレクターの佐々木宏氏(64)が就任した。五輪は野村と山崎氏、パラリンピックは野村と佐々木氏が中心となって具体的な演出企画を制作する。 

 野村がリーダーとなった理由を組織委の中井元チーフセレモニーオフィサーは「狂言、映画、舞台と伝統から現代まで幅広い見識がある。日本の文化は多様なのでそこの間口が広く、いろいろなことをやっていた方が良いと判断された」と語った。 

 山崎氏は映画「ALWAYS三丁目の夕日」「永遠の0」で日本アカデミー賞最優秀監督賞を2度受賞し、「日本を代表する映画監督」として選ばれた。 

 佐々木氏は、16年リオデジャネイロ五輪パラリンピックのハンドオーバーセレモニー(東京大会への引き継ぎ式)の演出チームとして活躍。安倍首相がスーパーマリオに扮(ふん)した五輪版、「ポジティブスイッチ」というスローガンで、障害を負った後もそれに屈せず、さまざまな分野で活躍する人々に焦点を当てたパラリンピック版の制作経験を、20年東京パラリンピックにも継続して生かしてほしいとの理由から選ばれた。 

 その他にも「東京五輪パラリンピック総合チーム」を設置。歌手椎名林檎(39)、演出振付家MIKIKO(40)、大手広告会社電通の菅野薫クリエーティブテクノロジスト(40)、映画「君の名は。」などを手がけた川村元気プロデューサー(39)、右下肢に障害がある栗栖良依クリエーティブプロデューサー(40)が就いた。椎名、MIKIKO、菅野氏は佐々木氏と同じく、リオ大会の引き継ぎ式制作チームだった。 

 例えば、野村、山崎氏が五輪の式典の音楽分野については椎名に助言を求めたり、振り付け分野ではMIKIKOに相談したりし、相互に協力できる体制だという。さらに専門家を演出チームに招くことも可能。映像や音楽などを制作する実務スタッフを含めると、全体のスタッフは数百人規模になる予定。 

 この8人は昨年12月、五輪・パラの開閉会式4式典の「総合プランニングチーム」に選ばれていたメンバーと全く同じ。各式典の具体演出を決める前に、起承転結で4式典を貫く基本計画を練ってきた。組織委は8人を発表した時点では、各式典の演出、監督はこの8人以外から選ぶ可能性があるとし、他の演出家への調査も行ってきた。 

 しかし結局、演出の責任者はこの8人から選ばれた。中井氏は「平昌大会の視察にも行ってもらった。(演出の)具体案も考えながら、基本プランを考えていた。それらが非常に結びついていた。この6カ月でずっと、本当に2020の式典について考えてくれた。現実的にここまで考えてくれている人はいない」と、外部から登用しなかった理由を語った。